Monarch 馬場適性一覧の見方

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 Monarch は、数百・数千時間をかけた開発・改良の末、参照する項目や扱う数字・数式が非常に多くなっているので、細かい所を見始めるとキリがありません。
一応、その中でも有益であろう部分を抜き出して出力し、公開してはいるのですが、それでも元々自分のみが使う目的で開発されているので、基本的には分かりにくいモノになっていると思います。
簡単に見ようと思えば、ソフトの適性総合評価を確認していただければ良いのですが、折角その他の項目も出力しているワケですし、それらがたまに有益な情報をもたらしてくれるコトもあるので、項目ごとに簡単に解説しておこうかと思います。

          


馬場適性一覧について

 馬場適性は、各解析記事の中で、いつも『各種解析結果』の最後の項目で出しているランキング形式の一覧です。意味合いとしては、文字通り『馬場適性』を示すモノとなっています。具体的には、出走各馬それぞれがどのぐらい高速馬場の恩恵を受ける可能性が高いか、あるいはどのぐらい時計のかかる馬場の恩恵を受ける可能性が高いかというのを示しています。ランキング形式ですから、基本的には『最も高速馬場がプラスに働く可能性が高い馬』が一番上に来て、『最も時計のかかる馬場がプラスに働く可能性が高い馬』が一番下にきます。非常に回りくどい表現で分かりにくいかも知れませんが、それは敢えて正確性を期すためにそうしています。最上位の馬を『高速馬場適性が高い』としてしまうと…チョット違うんですよねぇ。。同じく、最下位の馬を『重馬場適性が高い』とか『高速馬場適性が低い』ってしてしまうと、だいぶ語弊があるんですよねぇ。。というコトです。詳しくは以下で解説してみます。それでも分かりにくいかも知れませんがw

          


『馬場適性』の意味

 まず第一に、ずっと書いてきたコトではありますが、この『馬場適性』の判定に血統的な判断やコレまでの重馬場成績などは一切反映されていません。あくまで、この馬が持っている数字から計算によって導き出されたジャッジになります。例えば芝の重馬場に良績が集中している馬は、その馬が持つ数字(例えば持ちタイムなど)にもそれが表れてくるので、結果的に『時計のかかる馬場がプラスに働く可能性がある馬』と判定されるかも知れません。その場合は、この馬場適性判定に実績との関連性が表れている言えなくはないです。しかし、それは結果的にリンクしたというだけであり、馬場適性を算出する過程で重馬場の実績等を参照したワケではありません。重馬場の実績なんて、調べれば誰でもスグ分かりますからね。その情報を確認したいのであれば、いちいち Monarch に解析させる必要なんてありませんから。逆に、一般に広く知られている情報(重馬場成績など)には反映されないデータから導き出されるモノであるからこそ、コレを基に穴馬の導き出しができたりするワケです。

 もう1つ押さえておきたいポイントは、この一覧から何をどう読み取るかです。冒頭でランキングが上位であるほど『高速馬場がプラスに働く可能性が高い』と書きました。同時に「高速馬場適性が高い」と言ってしまうと微妙に語弊があるというようなコトも書きました。同様に「重馬場が苦手」という判断をするのも正確性を欠きます。この数値・ランクは、それぞれ馬の馬場適性を固定化してしまうモノではないからです。あくまで『ランキング』ですから、ココで並べられた馬達は一定の基準に従って順列をつけられただけ。要するに相対評価なワケです。極端な例でいうと、全員高速馬場が得意な可能性もあります。最上位から最下位まで全馬高速馬場向き。しかし、18頭いれば、その中に(同率があったとしても)必ず1位がいるし18位がいます。18位の馬は1位の馬に比べると時計のかかる馬場寄りと判定されたかも知れませんが、それは1位と比べたらそうなったというだけで、18位の馬自身の特性としては圧倒的に高速馬場向きというコトが十分に有り得るワケです。もちろんその逆もまた然り。

 もう少し言うならば、『高速馬場が得意』=『時計のかかる馬場が苦手』とはなりませんよね。もちろん、そうなる馬もいるでしょうケドも、どちらも無難にこなす馬だっています。極端に馬場が高速化するのも、極端に時計がかかるのも、どちらにも対応しづらい馬もいるでしょう。繰り返しますが、コレは馬の特性を固定化するための絶対値ではありません。特定の条件下で浮上する馬を拾い上げる為のファクターの1つです。なので、あくまで『~の条件がプラスに働く可能性がある』という判定になります。

  

順位と指数

 普段出力して公開している馬場適性一覧には、左端にランク(順位)、中央に馬名、右端に指数が表示されていると思います。例えば、同じ Monarch の出力情報である位置取り指数なんかは常に指数の高いモノから順に綺麗に並んでいるのですが、馬場適性の場合はそうでないコトがあります。

 まず1つあるのが「同率順位表示になっているのに指数が違う」というパターン。コレは「計算上同率として扱うべきであると判定されながら実際の指数は違う」という状態ですね。エラー等ではありません。細かく説明すると非常に煩雑でややこしいので省きますが、仕様です。この場合は、指数の高い方が上であるように見えるのですが、同率と判定されているので、同率と見て問題ない形です。なので同順位が振られています。

 次によくあるのが、上位の馬よりも下位の馬の指数の方が高い、というパターンです。コレは「適性の順位としてはランク付けの通りだケドも指数計算上数字が逆転してしまっている」という状態です。非常に分かりにくいですねw しかしエラーではありません。仕様です。この場合も適性順はランク付けの通りです。指数計算上、下位の馬の方が高数値になってしまっていますが、出走馬を適性順に並べたら順位の通りになるというコトなので、相対評価はランク付けの通りです。

馬場適性の見方

 この指標は、パッと見の印象では分かりやすいように思えて、上でゴチャゴチャ語った通り実は難解です。「上位の馬は『馬場の高速化がプラスに働く可能性が高い』が『高速馬場適性が得意』というワケではない」とか。「指数が高いのに順位が低い、しかしそれは順位付けの通りだから問題無いのだ」とか。意味不明ですね。なのであまり気にしないで良いです。とりあえず、変だケドそれは仕様であって、エラーではないとだけご理解いただければ大丈夫ですw

 色々と語りましたが、正確性を期す為に出来る限り間違いを含まない表現を使っただけです。単純に「高速馬場が想定される時に上位の馬を重視する」とか、「時計がかかりそうな時に下位の馬を重視する」というような判定で問題ありません。もちろん、全く違った結果になるコトも多々ありますが、それは Monarch の他の指標も同じですし、世に無数ある他の競馬予想も同じです。ハマる時はハマるし、ハマらない時はハマらない。

 ちなみに、ココの解説では出来る限り『馬場重化』とか『重馬場』という表現を使わないようにしていたのですが、それは芝とダートで捉え方が少し変わるからです。雨天の芝レースで馬場が重化する場合、基本はより時計がかかる馬場になります。逆に、雨天のダートレースで馬場重化と言えば、普通は高速化を意味しますよね。その辺で誤解を生まないように一応表現に気を付けてみたつもりです。(まぁダートも重化が進み過ぎると逆に時計掛かったりしますが。)なので、分かりにくい場合は芝とダートで逆、と考えれば良いと思います。そのために、順位のところにそれぞれ芝色とダート色がついています。

 とにかく、実際の予想に於いてどういう指標になりえるのか、今までにあった例を参照してみましょう。

          


馬場適性の具体例

①第56回 弥生賞(2019)

2019 弥生賞 馬場適性一覧
2019年3月3日 第56回 報知弥生賞 出走各馬の馬場適性一覧

 Monarch の馬場適性の話をする時に、私がよく取り挙げるヤツです。当時の船橋法典(中山競馬場)の天候は雨。芝は重馬場でした。勝ったのは10頭立てで8番人気のメイショウテンゲン。結構インパクトのある荒れ方だったのでこのレースを覚えておられる方は多いかも知れません。メイショウテンゲンの名が世に広まったレースですw

 このレースは明け3歳の3月開催の若駒戦。既に3・4戦を経た重賞勝ち馬もいましたが、新馬勝ち直後の馬もいるようなキャリアの浅い馬達が集まる重賞です。無論、重馬場未経験の馬も多数います。勝利したメイショウテンゲンは、稍重馬場の未勝利戦で2着はありましたが、勝ち上がりは良馬場。それを含めて良馬場での戦績は【1.1.1.1】でした。予想段階でメイショウテンゲンを重視していた人は殆どいないでしょう。しかし、Monarch はメイショウテンゲンの激走を予見していました。それがこの馬場適性一覧です。ちなみに、メイショウテンゲンより下位のラバストーンとナイママはそれぞれ10番人気・9番人気で着外でした。2着だったのはシュヴァルツリーゼ。馬場適性では上位となっていますが、この馬は新馬勝ちからの臨戦で、Monarch が参照したのは当然この新馬戦1戦だけでした。さすがにデータ不足です。しかし、このシュヴァルツリーゼは【 ハーツクライ × Monsun × Shirley Heights 系 × Sadler’s Wells 系】という恐れ慄く程ゴリゴリゴリゴリゴリゴリの重馬場(欧州)血統。ハーツにモンズン、シャーリーハイツにサドラーズウェルズですよ?! コレを超える馬は日本に存在しないのではないかという程の重馬場適性を思わせる血統。血統屋さんから言わせてみれば走って当然の馬でした。逆に、コレ以外何が来るのかと。

                    


②第37回 エプソムC(2020)

2020 エプソムカップ 馬場適性一覧
2020年6月14日 第37回 エプソムカップ 出走各馬の馬場適性一覧

 出ました。伝説のレース。この時は配信していたので、私の生放送を見ておられた方は世紀の爆当たりを覚えておられるかも知れません。当時の東京競馬場は相当に馬場重化が進み、不良馬場。 私の本命は、Monarch の適性総合評価3番手となっていたダイワキャグニー(9番人気)でした。結果は、見事私の本命ダイワキャグニーが勝利。2着は Monarch の適性総合評価6番手だったソーグリッタリング(5番人気)でした。しかしそんなコトはどうでも良いと言っても過言ではありません。問題は3着馬です。このレースの3着はハナ差であわや2着となりかけた18番人気トーラスジェミニでした。当時の私は放送しながら、トーラスジェミニを消したかも知れんとか何とか叫び散らしておりました。結果的には塗って、消して、また塗っていたので買えていて、物凄い金額が返ってきたのですが。

 見ての通りです。このレースに関しては他に語る必要はないでしょう。芝の不良馬場で馬場適性が下から2番手のトーラスジェミニが18番人気激走。そういうコトです。トーラスジェミニは他の項目ではあまり上位に上がってきていなかったので、この馬場適性評価を受けて評価を上げるコトができました。ちなみに古参の方はワイド万馬券が私の十八番であるコトはご存じかと思いますが、恐らくこの時にワイドの最高配当を更新したと思われます。ワイドで5万ですからね。。コレ以前は、恐らく3万台が最高だったと思います。いやはや恐ろしい…。。

                    


    

③第39回 中山牝馬ステークス(2021)

2021 中山牝馬ステークス 馬場適性一覧
2021年3月13日 第39回 中山牝馬ステークス 出走各馬の馬場適性一覧

 このレースは解析が全体的にハマっていました。 Monarch の適性総合評価1番手は7番人気⑬ランブリングアレー。そして見事この馬が勝利。Monarch にしては珍しいパターンです。よく言っていますが、穴馬の3・4着争いが定位置ですからw 当時は雨で馬場状態は不良。ランブリングアレーは Monarch の適性総合評価最上位であると同時に、見ての通り馬場適性が重化寄りの6番手(11位)でした。ランブリングアレー以下は、2着⑪ロザムール(5番人気)、3着⑦フェアリーポルカ(6番人気)、4着ホウオウピースフル(12番人気)。コレらが、ハナ・クビ・クビ差で続いていました。馬場適性一覧に目を移すと、今挙げた馬が下位にズラリと並んでいます。10位にホウオウピースフル、13位にロザムール、12位にフェアリーポルカ。結果的には不良馬場を受けて馬場適性下位のBOXで何とでも出来てしまうレースだったワケです。

                    


    

④第65回 大阪杯(2021)

2021 大阪杯 馬場適性一覧
2021年4月4日 第65回 大阪杯 出走各馬の馬場適性一覧

 この日の仁川は雨。阪神競馬場の馬場状態は重でした。コントレイルにグランアレグリアと、少頭数ながら上位人気には強力なメンツが揃っていました。Monarch の適性総合評価に特筆すべき点は無し。勝利したのは4番人気の⑧レイパパレでした。2着は6番人気の①モズベッロ。3着にコントレイルで4着がグランアレグリアでした。2強を下した2頭は、上の表を見たら分かる通り、馬場重化寄りの4番手と2番手にいたのです。 Monarch の解析は全体的にはハマらなかった回でしたが、Monarch は2強を下す穴馬を馬場適性で示唆していました。

           


              

 馬場適性 総括

 冒頭で、アレやコレやと非常に分かりにくいコトを語りましたが、それらは馬場適性という指数の概念や細かい仕様の話です。自分で解析をしてみたい方や、詳細が知りたい方はじっくり読んでいただければと思いますが、そうでない場合はあまり気にしていただかなくても大丈夫です。そもそもこの項目は、実績に表れない各馬の馬場適性を解析で明らかにしたいという観点から開発されたシステムが基になっているので、細かいコトは考えずに出て来たモノをただ参考にすれば良いのです。厳密な表現や細かい仕様はさておき、上の例で出した通り、高速馬場で上位の馬の評価を上げる、時計がかかる馬場で下位の馬の評価を上げる。そういう単純な考え方で基本的には問題ないと思います。あと1つ言えるコトは、他の項目でも言及している通り、このファクターを消し材料にするのは得策ではないというコトです。 Monarch の解析全体に言えるコトですが、『評価された馬を重視する』のが基本手法であって、『評価が低い馬を軽視する』のは下策です。この2つは似て非なる考え方ですから、Monarch の解析結果を参考にされる場合は、それを頭の片隅にでも置いておいていただければと思います。

 また、面白い例や馬場適性の効率良い使い方などを見つけたら追加で公開していきます。コレまでの解析で、他にもハマったレースはあったかも知れませんが、今までの公開情報を1つ1つ確認していく作業はなかなか骨が折れますのでw また見つけたら で。        

              


その他の参照項目解説

位置取り指数一覧の見方

ラップ適性解析表の見方

ラップバランスチャートの見方

馬場適性一覧表の見方

総合評価の扱い方

ラップ適性マトリクスの見方

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